806 洪水の結果として制限會社による緊急支出に關する覺書
(SCAPN1788)
一九四七年一〇月二日
1. 一九四七年九月二六日附大藏大臣の覺書、「洪水被害地域の復興に關連する制限會社の規則」に關する件は、一九四五年一二月八日附連合國最高司令部發日本政府宛の覺書「制限會社の規則」に關する件によつて要求されている事前承認を受けないで、洪水被害の修復のための緊急支出をなす權限を制限會社に與えることを要請している。
2. 制限會社は、以下各項の洪水被害修復または復興のための經費を、連合國最高司令官の事前承認なしに、支出して差支えない:
a. 堤防及び築堤の建設、排水溝の建設、ポンプ水揚作業、原料、機械類及び製品の安全地域への輸送、洪水で殘された瓦礫、塵芥、泥土等を淸掃、機械類に對する錆損害を予防するための緊急措置、建築物崩壞の予防並びに土地の地ならし。
b. 上記各項の緊急作業は、銀行勘定からの引出しまたは銀行借款の商議のいずれかによつて融通され得る。
3. 上記第二項によつて付與された權限は、以下各項に準據することを必要とする:
a. 支出は、工場施設に對する取り返しのつかない損害を防止するため、または生產の再開を許すため必要な最少限度に於てなすべきこと。
b. 支出は、この認可により、新機械類購入のために、なすべからざること。
c. 本覺書の日附より三〇日以內に、本覺書の認可によつて緊急支出をなした一切の制限會社は、當該支出に關する申請書を、十分な說明と理由ずけとを附して提出すべきこと。
d. 本覺書の日附後四五日以內に、安全地域に移され元の施設位置に復されていない一切の機械類または機械の部分品及び一切の他の工場設備に關して、報吿がかかる措置の說明に附してなさるべきこと。
4. 本覺書は、連合國最高司令官の事前承認なしで有形工場施設に永久的變更を加え、または、通常の事業經營によらずに原料を處分することを認可したものと解釋さるべきでない。
5. 本覺書の規定はその日附後三〇日間有効とし、且つ今回の緊急事件に限つてのみ適用される。その以後とられる措置は、旣定の規則及び手續に合致しなければならない。