789 國際郵便業務に關する覺書
一九四七年八月二六日
1. 廢止文書 日本政府宛の次の各覺書は一九四七年八月二八日以後廢止する:
a. 一九四六年九月五日付SCAPIN1177日本と、ドイツ以外のすべての國々との間の國際郵便業務再開」に關する件
b. 一九四七年一月二日付SCAPIN1432「日本と一切の諸國間の國際郵便業務の擴張」に關する件
2. 發效期日 一九四七年八月二八日以後日本とその他すべての諸國間の國際郵便業務は、この覺書に示されている指示條項に從つて實施される。
3. 封書及び郵便葉書 個人的のまた家族の通信を含む封書及び郵便葉書及び、商用、金融、貿易及び取引用通信は、日本より及び日本宛に郵送し得る、たゞし以下の禁止條項に從うことを要する:
a. 通貨、小切手、爲替、支拂命令書またはその他の信用或は金融證書を送達する通信
b. 外國爲替または在外資產の變更に關する總司令部の規則をくぐる意圖を持つ委任權、代理權、指圖或は他の手段による日本の在外資產の變更、移讓或は僞裝に關連する通信
c. 書籍、記事、脚本、音樂、映畵またはその他報道手段、表現手段に關する飜譯、複製、演出或はその他の權利を許與或は移轉する通信、及び、特許權及び著作權に少しでも關連ある通信。但し上揭事項を扱う正式の經路及び手續に關する記述若くは說明、又は正式の經路を經て手續された權利の承認はこのかぎりでない。
4. 商業上の書類 萬國郵便連合の規準及び制限規定に定義せられている商業上の書類は以下の例外を除いて日本へ及び日本から郵送することが出來る:
a. 音樂樂譜
b. 別々に送られる著書または新聞の原稿
c. 訟訴手續に關する一切の書類
d. 政府官吏の記草した一切の種類の書類
5. 印刷物 萬國郵便連合の規準及び制限規定に完成されている印刷物の郵送は、次に指定する種類に制限する:
a. 寫眞(日本へ及び日本から)
b. 繪畵(仝上)
c. 設計圖(仝上)
d. 地圖(仝上)
e. 圖案(仝上)
f. 目錄(仝上)
g. 連合國最高司令官の承認する科學上の及び專門的出版物(日本から外國へのみ)
6. 見本及び小包 萬國郵便連合條約の種別によるこれらの郵便物は、日本へ及び日本から郵送することが出來る。
7. 航空郵便 a. 萬國郵便連合の規則及び制限規定の定めた重量限度內の封書及び郵便葉書は、一般郵便物に關してこの覺書中に述べられた一切の制限條項に從つて、日本へ及び日本から郵送することが出來る。
b. 日本へ及び日本からの國際航空郵便の輸送は、商業運送業者によつてのみ行われる。日本向の航空郵便物は、東京とのみ札を付けた行囊に入れて發送される。
8. 小包郵便 小包郵便は日本宛のものに限る。小包は重量二二ポンドに限定し、その內容は腐敗の恐れのない食料品、商賣用とならない量目の郵送可能の醫藥品、石鹼、衣料品のような救護物資及びその他の援獲物資に制限し、その數量は受取人及び/またはその直近家族が合理的に使用し得る程度でなければならない。次の指定制限規定を各小包に適用する:
(1) 一個の小包に含め得る煙草は次の各種の一に限る:卷煙草一二〇〇本以內:葉卷一五〇本以內:パイプ煙草一半ポンド以內。
(2) 一個の小包にはサツカリン二〇〇錠以內。
b. 時計、萬年筆など救護物資と異る贈與品は國內に入ることを許可しない。
c. 一發送人は一受取人に對し一週一箇の救護小包を郵送し得るのみとする。
d. 配達不純の救護小包は發送人に返送せず、指定の救護機關に引渡して處分せしめる。
e. 許可された種目の超過數量、即ち受取人及び/またはその直近家族の當然の必要を超過する數量は、日本の稅關がこれを拔き取り、第八軍の關係機關に引渡して公認の救護機關に配分する。
9. 機關及び税關檢查 到着及び發送國際郵便物は、連合國最高司令官の發出した指示事項に從つて、檢閲または稅關檢查を受け得るようにすることを要する。
10. 適用規則 a. 認可された封書、郵便葉書、適用書類、印刷物、見本及び小包を含む定期郵便業務は、萬國郵便連合條約の規定條項によつて統轄される。
b. 認可された小包郵便業務は、萬國郵便連合小包郵便物に關する約定の條項または右業務の中止された當時日本と各國との間において有效であつた二國間協定若くはその他の協定の條項に從つて、日本政府がこれを實施する。
c. 萬國郵便連合條約の條件及び各種の二國間小包郵便協定の規定條約による記錄の保管及び、決算の所要報吿書の作製は日本政府の責任とする。
d. 國際郵便業務の運營によつて他の諸國から日本に支拂われるべき金額は、合衆國財務省信託基金勘定、即ち「預金、占領地域への送金利益金及び占領地域よりの輸出利益金」符號日本218905.1に預金される。國際郵便業務運營に關して日本より支拂うべき支拂金は、連合國最高司令官の通吿によつて右信託基金勘定よりなすものとする。
e. 日本へ支拂うべき金額を示す勘定の決算報吿書は、遞信省の指示を受けて作製し、連合國最高司令官に對しその證明をなすものとする。
f. 國際地上郵便物は、ドイツを除く日本船その他の國籍の船舶によつて日本から發送せられる。
g. 日本文學、朝鮮文學または支那文學による宛名の國際郵便物は、それらが朝鮮・支那及び琉球諸島以外の國に配達されるべきものである場合は、ローマ字で行間に書いた宛名を付けることを要する。
11. 事務上の通信 a. 書式通知書、查照通吿書、調查書、期末勘定の四半期決算書、その他萬國郵便連合條約及び二國間小包郵便協定の要求する國際郵便業務運營に必要な通信は、日本遞信省において作製し、開封のまま連合國最高司令部民間通信局に送付の上、檢閲、適當な證明及び送達を受けるものとする。そのような通信書類の證明は、「國際郵便機關による送達總司令部認可濟」と記される。
b. この覺書の範圍に屬する一切の事項に關して、連合國最高司令部民間通信局及びその他關係幕僚部局と遞信省との間の直接交涉を認可する。