766 ドイツ國民及びオーストリア國民の引揚に關する覺書
一九四七年七月二一日
1. 參照文書。
a. 引揚げるべきドイツ人及びオーストリア人の名簿以下の通り:(別紙第一)
(1) 第一部强制引揚を要する異議あるドイツ人
(2) 第二部かつて外交官の身分をもつていたドイツ人
(3) 第三部引揚を希望する異議のないドイツ人及びオーストリア人
b. 醫療衞生措置(別紙第二)
c. 財產規定及び措置(別紙第三)
2. 日本政府は、別紙第一に列記されている者の引揚を實施するため、この覺書及び附屬別紙に含まれている指示事項を、次の通り實行することを要する:
a. 別紙第一部(强制引揚を要する異議あるドイツ人)に列記されている各家族及び家族員でない各個人に對し、英語を話し得る日本人管理人を指名すること。管理人がその任にある間その給與に對する責任は、日本政府において負うこと。管理人は:
(1) 一切の財產を調查し、また晝間は屋敷內よりの財產移動を阻止し得る。
(2) 米第八軍檢查班擔當士官より指令された場合は、屋敷內に移住し、その場合は管理人は動產不動產一切の財產を管理する。管理人は引揚者の出發以前に屋數內に移轉居住することは出來ない。但し檢查班擔當士官より特別指令ある場合を除く。
(3) 別紙第三に含まれている指示事項に從つて、財產の保管維持にあたりまた處理すること。
b. 別紙第一第二部(かつて外交官の身分を持つていたドイツ人)に列記されている各家族及び、家族員でない各個人に對して英語を話し得る日本人管理人を指名すること。管理人は:
(1) 所有主及び米第八軍代表者と共に、前外交官が後に殘すことを希望する一切の財產の目錄を作製する。
(2) 引揚者の出發後屋敷內に移り住み、引揚者が後に殘した一切の財產の管理を引受ける。右は米第八軍檢查班擔當士官の指令あつた場合に實行すること。
(3) 別紙第三に含まれている指示事項に從つて財產を保管維持し處理すること。
c. 別紙第一列記の引揚人及び携行と認可されているその荷物(別紙第三參照)の現住所より長濱の收容所までの輸送をなすこと。
輸送は、米第八軍司令官の指定する頁數が指定時日に收容所に到着するよう手配すること。
d. 收容所までの移動期間及びそこに滯在中一切の引揚者に對して給與補給及び適切な醫療措置を供給すること。
3. 米第八軍司令官は、以下の者の引揚を免除する權限を與えられている:
a. 日本滯留を希望する日本人たる妻子。
b. 米軍または連合國醫務當局の檢査の結果健康上旅行に適しない者と認められる者。引揚の通吿あり次第、各引揚者は上記のことを通知せられ、旅行に不適の場合は、最寄りの軍政部隊に出頭し身體檢查を受けるよう指令される。家族員が身體または精神的病弱のためこの免除を受けた場合は、父母子供及び他の扶養家族を含む、その家族全員もまた免除される。上記理由によつて引揚を免除された者については、直ちに連合國最高司令官に報吿することを要する。
4. 日本政府は、米第八軍司令官の監督及び行政的指示の下に、この覺書及びその別紙に含まれている指示事項を實施せねばならない。この覺書受領と同時に連絡中央事務局の連絡員を指名して米第八軍司令官のもとに出頭させ、別紙第一列記の外國人の引揚完了まで、日本政府と米第八軍間の直接連絡に當らしめることを要する。
5. 本引揚完了と同時に、日本政府は直ちに、引揚全員の氏名と、別紙第一に記されてはいるが引揚げなかつた者の氏名及び各人についてその理由を記し、連合國最高司令官に報吿せねばならない。
別紙三通
1. 引揚げるべきドイツ人及びオーストリア人名簿(住所及び特別表のみ)
2. 醫療衞生措置
3. 財產規定及び措置