691 日本におけるチブスの豫防及び取締に關する覺書
一九四七年二月一二日
1. 一九四五年一一月二一日附最高司令部發日本帝國政府宛の覺書、「日本におけるチブスの豫防及び取締り」に關する各覺書を取り消し次の覺書をもつてこれに代える。
2. 日本においてチブス―流行性(しらみによる)及び鼠の媒介による(のみにもよる)―が引續き育成を與えているため、責任ある日本の機關が日本におけるチブスの豫防及び取締りのため次の諸方策を取ることを望む。
a. チブス患者の發生する都市、町村及び諸地域におけるチブスの適切な取締り措置(鼠の取締をも含む)
b. 津輕海峽を渡つて北海道と本州の間を往來する一切の者に對する殺虫劑によるしらみの常時驅虫實施
c. 日本の港から乘船する一切の外國人引揚者に對する常時驅虫及び消毒の實施
d. 一九四六年一一月五日附日本帝國政府宛の覺書、「引揚」に關する件に述べられている通り、日本の港に上陸する一切の引揚日本人の常時驅虫及び消毒措置
e. 一九四六年一二月一三日付日本帝國政府宛の覺書、「チブス取締り噴務消毒計畵」に關する件に含まれている鐵道客車、停車場、公衆用車輛、劇場などの常時驅虫措置
f. 殺虫劑DDTを使用し三〇日每に驅虫を行うこと:
(1) 軍人一般人及び家族を含む一切の連合國國民用に割當てられている一切の鐵道客車
(2) 軍人、一般人及び家族を含む一切の連合國國民の使用に割當てられている靑森函館間の一切の連絡船
(3) 軍人、一般人及び家族を含む一切の連合國國民の使用に割當てられるその他の公共乘物
(各驅虫措置實施後、關係軍司令官によつて指示された所に從つて措置の日附と場所を示す標識を一切の運輸機關に附けること)
g. 日本帝國政府はチブス取締りの實施に要する物資、設備及び經費に對して責任を持たねばならない。
h. 所要のチブス取締り措置の實施に要する日本人民間要員は日本の關係機關によつて提供されねばならない。