六三二 連合諸國及び國民の所有する日本所在の財産の保存に關する覺書
一九四六年一一月三〇日
1. 連合國最高司令部發一九四五年九月一三日附日本帝國政府宛覺書「連合國及び樞軸國財產の保護」に關する件を參照すること。
2.一九四一年一二月七日に連合國國民に屬していた財產物件の全般的調查を最近に行つた結果、右財產の多くが適切に保存されていないこと及び上記第一項に引用された覺書の指示にもかかわらず、これら財產がいつそう荒廢しないために必要な措置が日本帝國政府によつて取られていないことが看取された。
3. 一九四一年一二月七日に連合國國民が日本國內において所有していた財產のうち、現在連合國國民が所有保管または管理していないものについては、その保存と保存に必要な一切の經費を支拂うことに對して、日本帝國政府が責任を取るべきものであることを日本帝國政府に對して指令する。
4. 上記第三項に記されている一切の財產がいつそう損耗荒廢しないようするため、その保存と保護に必要な一切の最低支出をすることを日本帝國政府に指令する。
5. さらに、連合國國民の各財產ごとに、その保存に要した一切の經費の明細記錄を保存し連合國國民の財產を保存するための措置が講ぜられた場合は、その各場合に要した費用を明記した上、取られた措置に關する報吿を提出すべきことを日本帝國政府に指令する。
6. 適當な保存の措置が講ぜられなかつたために、特定財產の改造及び修理を必要とする場合は、日本帝國政府の責任において、その改造及び修理をなすべきことを、連合國最高司令部は指令することがあるであろう。