六二七 引揚に關する覺書
一九四六年一一月二七日
1. 一九四六年五月七日附連合國最高司令官覺書、上記首題に關する改訂の件を參照すること。
2. ソ連領土及びソ連管理地區より二萬五千名の日本人を引揚げしめる準備手續が完了した。右の引揚人は次の通り日本の引揚人收容所を通じて處理される:
引揚地區 引揚數 日本の港 船舶日本到着豫定期日
樺太 5,000 函館 46年12月9~16日
シベリア 5,000 舞鶴 〃〃8~9日
北鮮 10,000 佐世保 〃〃5日
大連地區 5,000 〃 〃〃5日
3. 引揚日本人は、ソ連領及びソ連管理港においてロシヤ語で書かれた乘船者名簿に從つて、ソ連官憲から引揚船船長に移管される。なおロシヤ語で書かれソ連官憲から提供される若干の移管書類は、船長によつて署名されねばならない。
4. a. ソ連領內の港及びソ連管理港から發せられる一切の航海通信にはロシヤ語が使用される。
b. ソ連管理地區內の引揚港に到着する引揚船から發せられる一切の航海通信には英語が使用される。
5. ソ連領及びソ連管理地區において、上記第二項に述べられている引揚人に對して、チブス豫防注射を施す。
6. 上記第一項參照覺書の附屬書第四第三項に述べられているソ連領及びソ連管理地區における緊急物資確保の手續はいまだ完了していない。引揚船は往復航海に必要な糧食燃料を積込む外、豫期しない遲延に備えて十分の燃料、淸水及び食糧の積込をもせねばならない。
7. 日本から北朝鮮への朝鮮人の引揚は差當り認可されない。
8. 日本帝國政府は:
a. 舞鶴及び函館引揚人收容所の運營を卽時開始し、上記第一項參照覺書規定の割合で引揚人を處理する準備をなすこと。
b. 上記第六項明記通り船舶に糧食燃斜の積込をなすこと。
c. 上記第四項a及び第六項の規定に關し船長に通吿すること。
d. ソ連領及びソ連管理地區からの日本人引揚に從事する船舶の船長が、間違なく上記第三項及び第四項bの指示に從うようすること。
e. 上記第一項參照覺書記載の指示に從つて右二萬五千の引揚日本人を處理すること。なお右引揚人を收容所から解散させる前に、必要囘數のチブス豫防注射を實施すること。
9. 參照覺書第一項記載の規定條項は、この覺書の規定通り修正する。