六二五 財閥家族の財産を持株會社整理委員會に移管する件に關する覺書
一九四六年一一月二六日
1. 連合國最高司令部發日本帝國政府宛の次の各覺書を參照すること:
a. 一九四五年一一月六日附、「持株會社の解散」に關する件
b. 一九四六年一月一九日附、「若干の會社の提出すべき報吿」に關する件
c. 一九四六年四月四日附、「持株會社整理委員會」に關する件
d. 一九四六年六月三日附、「若干の家族の提出すべき報吿」に關する件
e. 一九四六年七月二三日附、「持株會社整理委員會に關する法令及び規則」の件
2. 日本帝國政府はこの覺書の日附後五日以內に、持株會社整理委員會の管轄權を擴張し、下記第三項に列記されている指定家族または家族員が單獨若くは共同に、またはその他の方法で所有する財產及び資產を、それが如何なる種類のものたるを問わず、受領し、接收し、保有し、管理し、且處理する明確な權限を右委員會に與えるに必要な措置をとるよう指令される。持株會社整理委員會は、上記第一項a及びeに引かれた連合國最高司令部發日本帝國政府宛各覺書に述べられているところの目的と一致する衡平且民主主義的な方法で、接收された資產及び財產を結局淸算し、配分し、且右家族員に補償するよう、前記により與えられた權限を行使せねばならない。
3. 「指定家族又は家族員」とは上記第一項a、b、及びcに引かれている連合國最高司令部發日本帝國政府宛の各覺書によつて、これまでその活動を制限されていた以下の各家族を指す:
鮎川、淺野、古河、岩崎、三井、中島、野村、大倉、住友、安田。
4. 日本帝國政府は、上記第一項及びdに引照されている連合國最高司令部發日本帝國政府宛の各覺書及び第一項b覺書の一部の各規定條項によつて現に大藏省の遂行しつつある機能を、右覺書による大藏省の權限及び責任を含め、且第三項に列記した指定家族及び家族員に關連する限りのすべての書類、記錄、報吿その他の資料と共に持株會社整理委員會に移管し、以て大藏省から今後かかる機能をとり除き、それを持株會社整理委員會の完全な責任とするよう、そのため必要なあらゆる措置をとることを指令される。
5. 本覺書のすべての規定を實施するため連合國最高司令部關係幕僚部と、日本帝國政府の關係機關との間の直接交涉を認可する。