六二〇 工場の轉換及び再轉換の認可に關する覺書
一九四六年一一月二二日
1. 連合國最高司令部發日本帝國政府宛の以下各覺書を參照すること:
a. 一九四五年九月二二日附、「指令第三號」
b. 一九四五年一〇月二八日附、「軍需生產工場の平時生產への再轉換」に關する件
c. 一九四五年一一月二四日附、「指令第三號中「轉換」の解釋」に關する件
d. 一九四五年一二月八日附、「工場の再轉換申請」に關する件
e. 一九四六年一月二〇日附、「日本の航空機工場造兵器廠及び硏究所の管理、支配並びに保護維持」に關する件及びその改訂覺書
f. 一九四六年八月一三日附、「曹達灰及び苛性曹達工業部門內の賠償指定」に關する件
g. 一九四六年八月一三日附、「鐡鋼工業部門內の賠償指定」に關する件
h. 一九四六年八月一三日附、「水力發電所の賠償指定」に關する件
i. 一九四六年八月一三日附、「硫酸工業部門內の賠償指定」に關する件
j. 一九四六年八月一三日附、「工作機械工業部門內の賠償指定」に關する件
k. 一九四六年八月一三日附、「民間軍需工場の賠償指定」に關する件
l. 一九四六年八月一三日附、「造船工業部門內の賠償指定」に關する件
m. 一九四六年八月一三日附、「精密軸受工業部門內の賠償指定」に關する件
n. 一九四六年五月一七日附、「肥料の生產配給及び使用」に關する件
2. 上記第一項參照覺書aを本覺書により修正して、その第三項bをそれから削除する。
3. 第一項參照覺書b、c、及びdは本覺所によつて廢止する。
4. 本覺書に別段の規定あるものを除き、工場を轉換又は再轉換する連合國最高司令官の許可は、特に賠償のため指定されている工場、並びに連合國最高司令官が今後指示することあるべき會社及び工業についてのみ必要とされる。
5. 賠償のため指定されている工場を轉換又は再轉換する許可の申請は、日本帝國政府から連合國最高司令部に提出されねばならない。日本帝國政府はその受領した申請のうち次の各項に該當するものを却下すべき責任を負う:
a. 賠償に屬しない、代りになる施設が、現に使用のため都合され得るか、又は適當な期間內に設備され得るような、生產施設を利用するもの。
b. 日本經濟に必要缺くことの出來ないものと認められぬような、日本人の要求に基く生產のためのもの。連合國軍部隊の要求に基く生產のために賠償施設を使用する申請は、第一の標準のみによつて審查される。
6. 日本帝國政府が連合國最高司令部宛に提出した許可の申請は、次の各項を適切に表示している場合にのみ承認される:
a. 提案された轉換又は再轉換の性質
b. 有形施設の變更か提案されているときは、その程度
c. 當該の生產のために適切な、又は同等に融通出來る施設が使用のため都合され得ないこと
d. 生產さるべき製品が日本經濟又は占領軍部隊の必要上缺くことの出來ないものであること
e. その施設の使用が必要とされる期間
f. その施設が賠償撤去のため閉鎖される場合に、必要があれば生產を轉換するため準備がなされつつあること
7. 轉換又は再轉換の許可は、その工場に對し、製造される最終製品の變更を認可する。轉換と再轉換の相異は欲せられる變更の性質いかんによる。轉換は一般に、欲せられる最終製品が以前に製造されたことのない場合に適用される。再轉換は、一般に欲せられる最終製品が以前に當該工場において製造されたことのある場合に適用される。
8. 權限ある當局により、これまで賠償工場に對して發せられた轉換、又は再轉換の許可は引續いて效力を有し、再申請を提出する必要はない。そのような許可による操業の繼續は、上記第一項に引用した適用し得る管理覺書の規定によつて管理される。
9. 肥料工場に對する特別管理は、肥料の生產に關する限り、當該工場が賠償のため指定されていると否とに拘わらず、上記第一項n參照覺書の規定に從うことを要する。肥料の製造に用いられていない肥料工場の生產施設は、上記第四項の規定に從つて處理される。
10. 本覺書は、賠償のため指定された工場に關し、轉換及び再轉換の申請の手續以外の管理及び支配に關する事項につき、從前の覺書、及び又は、それに基いて發せられた指示、或はそれらの覺書及び指示のもとに定められた權限の委任を變更したものと解釋してはならない。