六一六 日本に對する輸入―輸出計算管理に關する覺書
一九四六年一一月一九日
1. 日本帝國政府は卽時措置を講じ、遲くとも一九四六年一一月三〇日までに本覺書に述べられている會計手續及び今後連合國最高司令部一般經理部によつて發せられるべき指示條項を實施する準備を整えなければならない。
2. 日本の輸入に對する計算管理手續
a. 船舶運營會の登錄外の船舶
(1) 適格貨物檢量人を貨物の荷揚時に提供すること。貨物檢量人は荷揚と同時に貨物を檢量し、正副二通の檢量報吿書を作製すること。一通は檢量人を派遣した貿易廳の代行機關の代表者の署名を受け稅關に提出すること。
(2) 稅關は貿易廳の臨港代表者より船積書類一式を入手し、署名された貨物檢量報吿書と船積書類と照合した結果を積荷照合表に記入すること。個々の積荷照合報吿書を英文にて四通作製し、その三通を第八軍軍政部代表に送付すること。各貨物檢量報吿書一部、船積書類一式及び個々の積荷照合報吿書一部は稅關に保管し、船名及び荷揚の日付別にフアイルしておくべきこと。
(3) 貨物の口數に關し係爭の生じた場合には、船長と貿易廳の間を調停し報吿された數量が正確であるか否かを確めるに必要な調查を實施することは稅關の任務である。そのような係爭のあつた場合は、その經緯の詳細、及び稅關の承認を記載し稅關吏の署名を付した英文報吿書を第八軍軍政部代表に提出すること。
(4) 貿易廳は(その港に入港する一切の積荷に署名する權限を持つ公式代表を關稅手續港に駐在せしめること。右代表は船積書類、その副本を入手し、寫しを次の通り配布する:
稅關に一式、第八軍軍政部代表へ署名ある書類二揃、この一通は船長よりの原本であること。貿易廳本廳に常置書類を保存するに十分な數の寫し。右代表は荷揚と同時に貨物の口數を確認し、數量記入領收書四通を作製、三通を第八軍軍政部代表に一通を船長に提出すること。
b. 船舶運營會の船舶
(1) 積荷が船舶運營會の船舶にて日本側に引渡される場合は、上記手續に次の修正を加えてこれを適用する:
(a) 第八軍軍政部代表に提出される數量記入領收書三通は船長の署名あるものと一致すること、但し、輸出者と貿易廳間に特別の協定ある場合を除く。
c. 他の政府向貨物
(1) 合衆國船舶積込の貨物が極めて少量であるか又は他の貨物と共積となつていて輸入港で迅速に荷分け出來ないためそのまま合衆國軍用倉庫に輸送され、そこで日本政府に引渡される場合、又は物資が軍用倉庫內にあつて軍物資在庫から流用された場合には、次の通り處理されることを要する:
(a) 貿易廳代表は受取つた物資の口數及び狀況を確かめ、當該物資を放出した合衆國軍技術部倉庫の作製した檢量報吿書二通に署名すること。右代表は貨物の所有權移轉の際技術部倉庫の提供する數量記入領收書四通に署名すること。他の政府向貨物については、貿易廳代表は船積書類を入手し一式を稅關へ、署名入りのもの二式を第八軍軍政部に配布すること。
d. 上に言及されている船積書類は次の各書類を含む:
(1)輸入積荷明細書報吿明細書 (2)荷造目錄
(3)委託貨物送狀 (4)重量容積明細表
(5)檢查證 (6)檢查表
(7)船荷證券
e. 個々の積荷照合報吿書は貨物檢量報吿書と輸入積荷明細書の照合摘要で、積荷目錄記載量と荷揚された量の間の相違及びその相異の說明を示すものである。船から積卸された各種目を各積荷照合表及び輸入積荷明細書に照合された檢量報吿書に表記されねばならない。各種目の總數量を示す摘要個別積荷照合報吿を第八軍軍政部代表に送付することを要する(書式見本添付。これらの書式は複製すること)。
3. 日本の輸出に對する計算管理手續
a. 日本の輸出については次の手續を守ること:
(1) 貿易廳は現に效力のある關係指令に述べられているすべての機能を實行すること。貿易廳は關稅手續港において說明を必要とするすべての書類を貿易廳の臨港代表者に送達する。貿易廳は第八軍によつて必要とされるすべての積込書類及び貨物領收書を第八軍軍政部司令官に提出せねばならない。更に委託貨物送狀一通を連合國最高司令部經濟科學局に送付することを要する。
(2)貿易廳の臨港代表者を、關稅手續港にて發生する貿易廳關係事務を處理する貿易廳の公式代表に指定すること。右代表者は積込港における貨物の引渡を監督する。右代表者は證明書書式の一切及び船の積荷に對して船長の署名した領收書を貿易廳に送付する。右代表者は貿易廳より積込書類二揃を貿易廳より入手し一揃を稅關に、一揃を船長に交付する。
(3) 上に言及されている積込書類は關係指令に定義されている。
4. 輸出輸入とも空輸による積荷の場合は、貿易廳は空港に正式代表者をおくこと上記の手續が適用される。
5. 本覺書に含まれている指示事項實施のため、關係の日本帝國政府機關と連合國最高司令部經濟科學局との直接通信をここに認可する。
別紙二通:
1. 積荷照合表
2. 個別積荷照合報吿書