五三二 ドイツを除く世界各國と日本との間の國際郵便の再開に關する覺書
一九四六年九月五日
1. ドイツを除く世界各國と日本との間の國際郵便の再開は、以下各項を條件として一九四六年九月一〇日以後これを認可する:
a. 郵便業務は日本宛及び日本發の葉書、日本向の片道贈與物小包、及び聯合國最高司令官の承認を受けた科學上及び專門的刊行物の日本からの郵送に限定する。
b. 葉書による通信は、支那語、英語、佛語、日本語、朝鮮語、露語及びスペイン語で書いた個人的又は家庭的性質のものでなければならない。手紙(引揚に關する公文郵便物以外の)及び商業上金融上の通信は禁止する。
c. 日本向の贈與物小包は重量一一ポンドに制限し、內容は腐敗の虞れのない食料品、衣類、石鹼、及び郵送し得る醫藥品に限定する。
2. 定期郵便業務は、一九三九年五月二三日のブエノスアイレス萬國郵便聯合協約の規定によつて支配せられる。萬國郵便聯合條約の條約による決算に必須な記錄の保存と決算の準備は、日本政府の責任である。
3. 認可された小包郵便業務は、郵便業務停止當時に日本と各國間に有效であつた雙務的協定その他の協定の條件に從つて日本政府が實施せねばならない。各種協定の條件によつて要求されている記錄の保存と勘定の準備は日本政府の責任である。
4. 小包郵便發着手數料手形によつて合衆國から日本に支拂うべき金額は、合衆國大藏省委託資金受取勘定「占領地城への送金及び同地域からの輸出利益金供託金」符號二一八九〇五・一日本に預入されることを要する。國際郵便業務に關聯して日本から支拂うべき支拂金は、聯合國最高司令官の勸吿を受けた時この供託資金勘定からなされる。その勘定の精算書は日本帝國政府遞信省によつて準備され、聯合國最高司令官によつて認證されることを要する。
5. 國際郵便物は日本船又はドイツ在籍船以外のすべての國籍船舶によつて送達される。
6. 發着の國際郵便物はすべて、聯合國最高司令官によつて適當と認定される範圍において檢閲を受ける。郵便物は、太平洋地域合衆國陸軍部隊司令部G-2民間檢閲班に提出し得るよう準備し、檢閲の任にある遞信省連絡官を通じて隨時發せられる指示に應じて檢閲を受けるため提出されねばならない。
7. 一九四五年一〇月二八日認可された引揚郵便業務は、一九四六年九月一〇日以後これを停止する。今後一切の引揚郵便物は、日本軍及び日本國民の引揚のみに關する公式通信を含み、何れも國際郵便物として取扱われる。
8. 本覺書の範圍內にある一切の事柄に關して、聯合國最高司令部民間通信部と遞信省間の直接交涉を認可する。