五〇一 硫酸工業部門の賠償指定に關する覺書
一九四六年八月一三日
1. 別表に指定された工場の接觸硫酸製造機一切が聯合國最高司令官の保管管理に移されたことをここに日本帝國政府に通吿する。
2. a. 別表は中間賠償案に從つて撤去を受ける設備を指定する。この設備は必需消費財の生產に一時運轉を許可せられるが、資材、運轉資金又は勞力の割當に於ては、關係諸工場に對する差別的取扱を防止するやう萬全の處置が講ぜられねばならない。指定設備が運轉せられてゐると否とに拘はらず、總ての場合において、その設備の適切な保護、保存及び保全を確保するに必要な措置がとられねばならない。
b. 二工場に於ける接觸硫酸製造機の撤去は次の通り考慮されてゐる
(1)日產化學 仁科工場 二組撤去
(2)東洋高壓 砂川工場 一組撤去
これら二工場の硫酸製造能力はすべて保管管理に移されるが、上に指定された以上の製造機の撤去は計畫されてゐない。
3. 合衆國第八軍司令官が適切な保管、管理及び保護的維持の設定に必要と考へる一切の職員、設備及び物資が同司令官の使用に供されねばならない。
4. 本覺書受領後七二時間以內に、日本帝國政府は適格代表者をして合衆國第八軍司令官のもとに出頭せしめ、本覺書の目的達成のための詳細指示を受けしめることを要する。
5. 本覺書の規定は、今後の覺書によつて指定せられることある特定工場の卽時閉鎖及び撤去を妨げるものと解釋されてはならない。