不動産強制竸賣事件ノ裁判ノ決定ニ對スル再抗告ノ件
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大審院民事判決録（民録）26輯1452頁
大正九年（ク）第百三十一號
大正九年十月四日第二民事部判決
◎判決要旨
- 一 執行裁判所ノ執行方法ニ對シ不服ノ申立ヲ爲スニハ先ツ民事訴訟法第五百四十四條ニ依リ執行裁判所ニ對シ強制執行ノ方法ニ對スル異議ノ申立ヲ爲シ之ニ對スル同裁判所ノ裁判ニ對シ更ニ抗告ヲ爲スハ格別此手續ヲ履踐セスシテ直ニ原裁判所ニ抗告ヲ爲シタルハ失當ニシテ原裁判所ハ須ラク之ヲ不適法トシテ却下スヘキモノトス
（參照）裁判長ハ其裁判前ニ假處分ヲ爲スコトヲ得殊ニ保證ヲ立テシメ若クハ之ヲ立テシメスシテ強制執行ヲ一時停止シ又ハ保證ヲ立テシメテ強制執行ヲ續行ス可キヲ命スルコトヲ得（民事訴訟法第五百三十二條第二項）
強制執行ノ方法又ハ執行ニ際シ執達吏ノ遵守ス可キ手續ニ關スル申立及ヒ異議ニ付テハ執行裁判所之ヲ裁判ス又執行裁判所ハ第五百二十二條第二項ニ定メタル命ヲ發スル權ヲ有ス」執行委任ヲ受クルヲ拒ミ若クハ委任ニ從ヒ執行行爲ヲ實施スルコトヲ拒ミタルトキ又ハ執達吏ノ計算セシ手數料ニ付キ異議アルトキハ執行裁判所ハ之ヲ裁判スル權ヲ▲ス（民事訴訟法第五百四十四條）
原審 東京地方裁判所
右抗告人ハ不動産強制竸賣事件ノ裁判ニ對シ東京地方裁判所カ大正九年七月二十七日與ヘタル決定ニ對シ更ニ本院ニ抗告ヲ爲シタルリ依テ決定スルコト左ノ如シ
原決定ヲ廢棄ス
抗告人ノ抗告ハ之ヲ却下ス
理由
按スルニ本件抗告ニ旨趣トスル所ハ本件不動産強制竸賣事件ニ於テ抗告人ハ其執行ヲ停止セシメンカ爲メニ執行裁判所ニ對シ民事訴訟法第五百五十條第一項第二號ニ所謂執行ノ一時停止ヲ命スル裁判ノ正本ヲ提出シタルニ拘ハラス同裁判所カ竸落代金ノ支拂及ヒ配當期日指定ノ裁判ヲ爲シタルハ停止命令ノ效力ヲ無視スル不法ノ裁判ナリト謂フニ在リテ即チ執行裁判所ノ執行方法ニ對シ不服ノ申立ヲ爲スモノナレハ先ツ同法第五百四十四條ニ依リ執行裁判所ニ對シ強制執行ノ方法ニ對スネ異議ノ申立ヲ爲シ之ニ對スル同裁判所ノ裁判ニ對シ更ニ抗告ヲ爲スハ格別此手續ヲ履踐セスシテ直チニ原裁判所ニ抗告ヲ爲シタルハ失當ナリ原裁判所ハ須ラク抗告人ノ抗告ヲ不適法トシテ却下スヘキニ事茲ニ出テサリシハ不法ナルヲ以テ原審決定ハ之ヲ廢棄シ抗告人ノ抗告ハ之ヲ却下スヘキモノトス仍テ主文ノ如ク裁判シタリ