不當相續廢罷請求事件
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法律新聞(新聞)92号7頁


家督相續人に選定せらるへき順位に在る者と雖も未た選定せられさる間は家督相續人と謂ふを得さるを以て家督相續囘復の請求を爲すを得さるものとす
控訴人岐阜縣羽島郡小熊村大字西小熊七十九番戸平民農南谷ツユ右訴訟代理人辯護士野口本之助氏被控訴人東京市麻布區本村町六十一番地寄留平民齋藤カツ右同居後見人法定代理人福壽宗肅右訴訟代理人辯護士羽田彦四郎氏間の明治三十四年(ね)第九四七號不當相續廢罷請求事件に付き東京控訴院民事第一部裁判長判事榊原幾久若判事鈴木喜三郎判事松岡義正同平島及平同淺見倫太郎の五氏は左の如く判决せり
(主文)明治三十五年一月十五日當院の言渡したる欠席判决を維持す欠席判决後に生したる費用は控訴人の負擔とす
(事實)控訴代理人は第一審判决の全部を廢棄し被控訴人の爲したる家督相續手續全部を廢罷し控訴人に故齋藤寛道の家督相續權ありと判决あり度しと申立し被控訴代理人は控訴の棄却を申立て當事者雙方の演述したる事實干係は第一審判决に摘示するものと同一なるを以て之を援用す
(理由)家督相續人に選定せらるへき順位に在る者と雖も未た選定せられさる間は家督相續人と謂ふを得さるを以て家督相續囘復の請求を爲すを得さる者とす本件控訴人の主張する事實に依れは控訴人は亡寛道の法定の推定家督相續人にあらす又指定選定に因る相續人にもあらす單に選定せらるへき順位に在るものにして親族一同に於ても寛道の相續人と爲るへきことに異議なしと云ふに過きさるものなれは未た以て寛道の相續人なりとするを得さるか故に本訴請求は其當を得たものにあらす依て本控訴を理由なきものと認め主文の如く判决す(五月二日判决)