縣參事會の裁判に關する訴の妨訴抗辯(行政裁判)
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法律新聞(新聞)41号12頁


原告富山縣上新川郡上瀧町外十六箇町村組合管理者富山縣上新川郡長國枝逸蠖對被告富山縣參事會富山縣知事桧垣直石間の行政訴訟に關し被告より妨訴抗辯をなしたる所六月二十四日行政裁判所裁判長々官松岡康毅評定官本尾敬三郎渡邊廉吉樋山資之木下友三郎山崎寅平の六氏は審理の末宣告すること左の如し
(主文)本件訴訟は之を棄却す、訴訟費用は原告の負擔とす
(事實及理由)被告抗辯の要旨は町村制第百二十二條第二項の規定は豫算表加載處分を受けたる町村又は組合に於て出訴することを許したるものにして被處分者にあらざる原告は訴權なき者なるを以て本訴は之を却下せられたしと云ふに在り
原告辯駁の要旨は原告組合の用水に關係を有する堀川村に組合費用の負擔を定額豫算に加載せしめたる上新川郡長の訓令に對し被告が與へたる裁决は町村制に於て確定の裁决なりと云ふを得ず故に該裁决の直接被害者たる原告組合は該裁决に對し出訴の權ある者なり依て被告の妨訴抗辯は之を却下せられたしと云ふに在り
依て判决の理由を説明する左の如し
案ずるに町村制第百二十二條第二項の規定は被告所論の如く同條第一項の處分即ち郡長に於て支出額を豫算表に加へ又は臨時支出せしめたる處分に對し其處分を受けたる町村又は組合に訴權を與へたるものと解するを正當なりとす而して本件の事實は堀川村會に於て上瀧町外十六箇町村組合三十二年度追加堀川村負擔の一部を否决したるに依り同村に對し上新川郡長が否决額を定額豫算表に加載したるものなるを以て原告たる組合は町村制第百二十三條第二項に依り出訴する權なきものなり