明治四十二年(オ)第四百十六號
明治四十三年三月二十三日第二民事部判決
◎判決要旨
- 一 同一ノ所有者ニ屬スル土地及ヒ建物ヲ併セテ抵當ト爲シタル場合ニ於テモ競賣ノ際單ニ其土地又ハ建物ノミ競落セラレタルトキハ民法第三百八十八條ヲ適用スヘキモノトス(判旨第一點)
- 一 民法第三百八十八條但書ノ規定ハ當事者カ其協議ヲ以テ地代ヲ定メタルトキハ該協定ニ依ルヘク又其協議調ハサルニ於テハ裁判所ニ請求シテ之ヲ定ムルノ法意ナリトス(判旨第三點)
- 一 民法第三百八十八條ニ依リ發生シタル地上權ハ存績期間ノ定ナキモノナレハ同第二百六十八條第二項ノ規定ニ從ヒ當事者ノ請求ニ因リ裁判所ニ於テ其期間ヲ定ムヘキモノナレトモ此規定モ亦當事者ノ協議ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ禁スルモノニ非ス(同上)
(參照)土地及ヒ其上ニ存スル建物カ同一ノ所有者ニ屬スル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵當ト爲シタルトキハ抵當權設定者ハ競賣ノ場合ニ付キ地上權ヲ設定シタルモノト看做ス但地代ハ當事者ノ請求ニ因リ裁判所之ヲ定ム(民法第三百八十八條)地上權者カ前項ノ規定ニ依リテ其權利ヲ抛棄セサルトキハ裁判所ハ當事者ノ請求ニ因リ二十年以上五十年以下ノ範圍内ニ於テ工作物又ハ竹木ノ種類及ヒ状況其他地上權設定ノ當時ノ事情ヲ斟酌シテ其存續期間ヲ定ム(民法第二百六十八條第二項)
上告人 株式會社清洲銀行
右法定代理人 河邑新晤
被上告人 酒井勘三郎
訴訟代理人 阿部喜藤治
右當事者間ノ地上權登記抹消請求事件ニ付名古屋控訴院カ明治四十二年十月二十三日言渡シタル判決ニ對シ上告人ヨリ全部破毀ヲ求ムル申立ヲ爲シ被上告人ハ上告棄却ノ申立ヲ爲シタリ
判決
本件上告ハ之ヲ棄却ス
上告ニ係ル訴訟費用ハ上告人之ヲ負擔ス可シ
理由
上告論旨ノ第一點ハ民法第三百八十八條ニ依レハ「土地及ヒ其上ニ存スル建物カ同一ノ所有者ニ屬スル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵當ト爲シタルトキハ抵當權設定者ハ競賣ノ場合ニ付キ地上權ヲ設定シタルモノト看做ス」トアリ故ニ本規定ニヨリ地上權ヲ設定シタルモノト看做サンニハ其土地又ハ建物ノミヲ抵當ト爲シタル場合ニ限定セラレ而シテ土地ト建物トヲ併合シテ其上ニ抵當權ヲ設定シタル場合ニハ同條ヲ適用スルヲ得サルコト文理解釋上洵ニ明ナリトス原院ハ上告人及ヒ訴外山田鎌二郎カ本件土地及ヒ同地上ニ存在セル建物ヲ併合シテ其上ニ抵當權ヲ設定シタル事實ヲ確定シ而シテ此場合ニ於テモ均シク同條ヲ適用スヘキモノト論斷セラレタルハ即チ解釋ノ範圍ヲ踰越シタルモノトス
其理由トスル所一理ナシトセサルモ而モ畢竟立法論ニ屬シ此明白ナル法律ノ規定ヲ覆スニ足ラス要スルニ蛇足ノ辯ノミ原判決ハ法則ヲ不當ニ適用セラレタル違法ノ裁判ナリト云フニ在リ
仍テ按スルニ民法第三百八十八條ハ其文字ニ拘泥スルトキハ上告所論ノ如ク同一ノ所有者ニ屬スル土地及ヒ其上ニ存スル建物ノ中其土地又ハ建物ノミヲ抵當ト爲シタル場合ニ付テ規定シ其土地及ヒ建物ヲ併セテ抵當ト爲シタル場合ハ之ヲ豫想セサルモノノ如シト雖モ主トシテ國家經濟上ノ理由ニ基キ建物ノ廢滅ニ歸セサランコトヲ希望シタル同條立法ノ趣旨ニ鑑ミルトキハ其土地及ヒ建物ヲ併セテ抵當ト爲シタル場合ニ於テモ競賣ノ際單ニ其土地又ハ建物ノミ競賣セラレタルトキハ尚ホ同條ヲ適用スヘキモノト解スルヲ相當トス是レ本院カ從來判例トシテ是認スル所ナリ(明治三八年(オ)第三二七號上告事件同年九月二十二日判決及同年(オ)第五二一號上告事件明治三九年二月十六日判決參看)然レハ同趣旨ニ出テタル原判決ハ正當ナルヲ以テ本論旨ハ其理由ナシ(判旨第一點)
第二點ハ原判決ヲ査閲スルニ「本件ニ於テ作三郎久治郎間ニ於テ建物ノ競落許可決定ノ後即チ明治三十八年八月二十三日ニ控訴人(上告人)主張ノ如キ地料竝存續期間ニテ建物所有ヲ目的トスル地上權ノ設定登記ヲ爲シ其後被控訴人(被上告人)カ久治郎ヨリ右地上權ヲ讓受ケ登記ヲ經由シタル事實ハ何レモ爭ナキ所」ト確定セラレ而シテ成立ニ爭ナキ甲第一號證ノ一乃至三ニハ何レモ「明治三十八年八月八日附地上權設定證書ニ依リ云云建物所有ヲ目的トスル地上權ノ設定ヲ登記ス」トアリテ一見土地ノ所有者タル作三郎ト競落人タル久治郎トノ間ニ締結シタル地上權設定ノ契約證書ニ基キ地上權ヲ登記シタルモノナルコト甚明ナリ上告人カ本訴ノ目的トスル所ハ此作三郎ト久治郎間ノ契約ニ依リ設定シタル地上權ノ登記ノミヲ抹消セシメントスルニ在レハ必スヤ其當否ヲ判斷セサル可ラス競落人タル久治郎カ民法第三百八十八條ニ依リ地上權ヲ設定シタルモノト看做サルヘキヤ否ハ自ラ別箇ノ問題ニシテ本件目的トハ沒交渉ノ事項タリ何トナレハ設令同規定ニ依リ地上權ヲ設定シタリト看做サルヘキ場合ト雖モ更ニ契約ヲ以テ地上權ヲ設定スルニ毫モ妨ナケレハ也然ルニ原院ハ漫然久治郎ハ法定地上權ヲ取得セルモノナレハ本件地上權設定ノ契約ヲ締結スルカ如キハ普通在リ得ヘカラサル事態ト謂ヒ前記當事者間爭ナキ事實爭ナキ證據ヲ否定セラレタルハ乃チ裁判ニ理由ヲ付セス且ツ不當ニ事實ヲ確定セラレタル違法アリト思料スト云フニ在リ
然レトモ被上告人カ原審ニ於テ抗辯ノ一トシテ主張シタル所ハ訴外人久田久治郎ハ民法第三百八十八條ニ依リ法定ノ地上權ヲ取得シ土地ノ所有者ト久治郎間ニ其地上權ノ地代及ヒ存續期間ヲ定メ登記ヲ爲シタリト云フニ在ルコトハ原判文及ヒ之ニ引用シアル第一審判文ノ事實摘示ニ徴シ明白ナリ而シテ原院ハ久治郎カ甲第一號證ノ一乃至三ノ地上權設定登記前既ニ民法第三百八十八條ニ依リ其地上權ヲ取得シタル事實ヲ認メ其事實ヨリ推シテ被上告人ノ主張ヲ是認シ同證ノ地上權設定登記ハ既ニ取得シタル法定地上權ニ付キ地代及ヒ存續期間ヲ定メタルモノト認定シタルコトハ判文ノ明示スル所ナレハ其認定ハ被上告人ノ主張ニ基キ證據ヲ判斷シ其理由ヲ説明シタルモノニシテ毫モ上告所論ノ如キ違法アルコトナシ
第三點ハ民法第三百八十八條但書ニ「地代ハ當事者ノ請求ニヨリ裁判所之ヲ定ム」トアリ是公益上ヨリ設ケラレタル規定ニシテ此場合ニハ必ス裁判所ノ判定ヲ受クヘキ法意ナリトス現ニ本件ノ如ク建物ノミヲ競賣セラルルニ當リ當事者ヲシテ任意ニ地代ヲ定ムルコトヲ得セシメンカ或ハ無償トスルコトアルヘク或ハ無償ニ等シキ地代ヲ定ムルコトナシトセス爲之土地ノ價格ヲ減シ其抵當債權者ヲ害スルコト亦大ナリ故ニ所有者抵當權者及ヒ競落人ノ間ニ均等ノ利益ヲ得セシメントスルニハ公平ナル裁判所ノ判定ニ待ツノ外ナシ是本條但書ノ存スル所以ナリトス然ルニ原院カ本條但書ヲ以テ當事者ニ於テ任意ノ協定ヲ爲ス能ハサル場合ニ於テ其一方ヨリ請求アルトキハ裁判所之ヲ定ムヘキ旨ヲ規定シタルモノト爲シ本件ノ如ク土地ノ所有者タル作三郎ト地上權者タル久治郎ノ間ニ於テ任意ニ定メタル地代及ヒ存續期間ヲ有効ナルモノトシ乃チ抵當權者ノ利益保護ヲ等閑ニ付セラレタルハ法律違背ノ裁判ナリト云フニ在リ
然レトモ民法第三百八十八條但書ノ規定ハ當事者カ其協議ヲ以テ地代ヲ定ムルコトヲ禁スルノ趣旨ニ出テタルモノニアラスシテ其協議ヲ以テ之ヲ定メタルトキハ其協定ニ依ルヘク其協議調ハサルトキハ裁判所ニ請求シテ之ヲ定ムルノ法意ナリトス又同條ニ依リ發生シタル地上權ノ存續期間ヲ定ムルニ付テモ亦異ナルコトナシ即チ其地上權ハ存續期間ノ定メナキモノナルヲ以テ民法第二百六十八條第二項ノ規定ニ從ヒ裁判所ハ當事者ノ請求ニ因リ其存續期間ヲ定ムヘキモノナレトモ其規定モ亦當事者カ其協議ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ禁スルノ法意ニ非ス從テ其協議ヲ以テ之ヲ定メタルトキハ其協定ニ依ルヘキモノトス故ニ同趣旨ニ出テタル原判決ハ正當ナルヲ以テ本論旨モ其理由ナシ(判旨第三點)
以上説明スルカ如ク本件上告ハ其理由ナキヲ以テ民事訴訟法第四百五十二條ニ依リ主文ノ如ク判決スルモノナリ
明治四十二年(オ)第四百十六号
明治四十三年三月二十三日第二民事部判決
◎判決要旨
- 一 同一の所有者に属する土地及び建物を併せて抵当と為したる場合に於ても競売の際単に其土地又は建物のみ競落せられたるときは民法第三百八十八条を適用すべきものとす。
(判旨第一点)
- 一 民法第三百八十八条但書の規定は当事者が其協議を以て地代を定めたるときは該協定に依るべく又其協議調はざるに於ては裁判所に請求して之を定むるの法意なりとす。
(判旨第三点)
- 一 民法第三百八十八条に依り発生したる地上権は存績期間の定なきものなれば同第二百六十八条第二項の規定に従ひ当事者の請求に因り裁判所に於て其期間を定むべきものなれども此規定も亦当事者の協議を以て之を定むることを禁ずるものに非ず(同上)
(参照)土地及び其上に存する建物が同一の所有者に属する場合に於て其土地又は建物のみを抵当と為したるときは抵当権設定者は競売の場合に付き地上権を設定したるものと看做す。
但地代は当事者の請求に因り裁判所之を定む。
(民法第三百八十八条)地上権者が前項の規定に依りて其権利を放棄せざるときは裁判所は当事者の請求に因り二十年以上五十年以下の範囲内に於て工作物又は竹木の種類及び状況其他地上権設定の当時の事情を斟酌して其存続期間を定む。
(民法第二百六十八条第二項)
上告人 株式会社清洲銀行
右法定代理人 川邑新晤
被上告人 酒井勘三郎
訴訟代理人 阿部喜藤治
右当事者間の地上権登記抹消請求事件に付、名古屋控訴院が明治四十二年十月二十三日言渡したる判決に対し上告人より全部破毀を求むる申立を為し被上告人は上告棄却の申立を為したり。
判決
本件上告は之を棄却す
上告に係る訴訟費用は上告人之を負担す可し
理由
上告論旨の第一点は民法第三百八十八条に依れば「土地及び其上に存する建物が同一の所有者に属する場合に於て其土地又は建物のみを抵当と為したるときは抵当権設定者は競売の場合に付き地上権を設定したるものと看做す。」とあり。
故に本規定により地上権を設定したるものと看做さんには其土地又は建物のみを抵当と為したる場合に限定せられ。
而して土地と建物とを併合して其上に抵当権を設定したる場合には同条を適用するを得ざること文理解釈上洵に明なりとす。
原院は上告人及び訴外山田鎌二郎が本件土地及び同地上に存在せる建物を併合して其上に抵当権を設定したる事実を確定し、而して此場合に於ても均しく同条を適用すべきものと論断せられたるは。
即ち解釈の範囲を踰越したるものとす。
其理由とする所一理なしとせざるも而も畢竟立法論に属し此明白なる法律の規定を覆すに足らず要するに蛇足の弁のみ原判決は法則を不当に適用せられたる違法の裁判なりと云ふに在り
仍て按ずるに民法第三百八十八条は其文字に拘泥するときは上告所論の如く同一の所有者に属する土地及び其上に存する建物の中其土地又は建物のみを抵当と為したる場合に付て規定し其土地及び建物を併せて抵当と為したる場合は之を予想せざるものの如しと雖も主として国家経済上の理由に基き建物の廃滅に帰せさらんことを希望したる同条立法の趣旨に鑑みるときは其土地及び建物を併せて抵当と為したる場合に於ても競売の際単に其土地又は建物のみ競売せられたるときは尚ほ同条を適用すべきものと解するを相当とす。
是れ本院が従来判例として是認する所なり。
(明治三八年(オ)第三二七号上告事件同年九月二十二日判決及同年(オ)第五二一号上告事件明治三九年二月十六日判決参看)。
然れば同趣旨に出でたる原判決は正当なるを以て本論旨は其理由なし。
(判旨第一点)
第二点は原判決を査閲するに「本件に於て作三郎久次郎間に於て建物の競落許可決定の後即ち明治三十八年八月二十三日に控訴人(上告人)主張の如き地料並存続期間にて建物所有を目的とする地上権の設定登記を為し其後被控訴人(被上告人)が久次郎より右地上権を譲受け登記を経由したる事実は何れも争なき所」と確定せられ。
而して成立に争なき甲第一号証の一乃至三には何れも「明治三十八年八月八日附地上権設定証書に依り云云建物所有を目的とする地上権の設定を登記す」とありて一見土地の所有者たる作三郎と競落人たる久次郎との間に締結したる地上権設定の契約証書に基き地上権を登記したるものなること甚明なり。
上告人が本訴の目的とする所は此作三郎と久次郎間の契約に依り設定したる地上権の登記のみを抹消せしめんとするに在れば必ずや其当否を判断せざる可らず競落人たる久次郎が民法第三百八十八条に依り地上権を設定したるものと看做さるべきや否は自ら別箇の問題にして本件目的とは没交渉の事項たり何となれば設令同規定に依り地上権を設定したりと看做さるべき場合と雖も更に契約を以て地上権を設定するに毫も妨なければ也然るに原院は漫然久次郎は法定地上権を取得せるものなれば本件地上権設定の契約を締結するが如きは普通在り得べからざる事態と謂ひ前記当事者間争なき事実争なき証拠を否定せられたるは乃ち裁判に理由を付せず且つ不当に事実を確定せられたる違法ありと思料すと云ふに在り
然れども被上告人が原審に於て抗弁の一として主張したる所は訴外人久田久次郎は民法第三百八十八条に依り法定の地上権を取得し土地の所有者と久次郎間に其地上権の地代及び存続期間を定め登記を為したりと云ふに在ることは原判文及び之に引用しある第一審判文の事実摘示に徴し明白なり。
而して原院は久次郎が甲第一号証の一乃至三の地上権設定登記前既に民法第三百八十八条に依り其地上権を取得したる事実を認め其事実より推して被上告人の主張を是認し同証の地上権設定登記は既に取得したる法定地上権に付き地代及び存続期間を定めたるものと認定したることは判文の明示する所なれば其認定は被上告人の主張に基き証拠を判断し其理由を説明したるものにして毫も上告所論の如き違法あることなし
第三点は民法第三百八十八条但書に「地代は当事者の請求により裁判所之を定む。」とあり是公益上より設けられたる規定にして此場合には必す裁判所の判定を受くべき法意なりとす。
現に本件の如く建物のみを競売せらるるに当り当事者をして任意に地代を定むることを得せしめんか或は無償とすることあるべく或は無償に等しき地代を定むることなしとせず為之土地の価格を減じ其抵当債権者を害すること亦大なり。
故に所有者抵当権者及び競落人の間に均等の利益を得せしめんとするには公平なる裁判所の判定に待つの外なし。
是本条但書の存する所以なりとす。
然るに原院が本条但書を以て当事者に於て任意の協定を為す能はざる場合に於て其一方より請求あるときは裁判所之を定むべき旨を規定したるものと為し本件の如く土地の所有者たる作三郎と地上権者たる久次郎の間に於て任意に定めたる地代及び存続期間を有効なるものとし乃ち抵当権者の利益保護を等閑に付せられたるは法律違背の裁判なりと云ふに在り
然れども民法第三百八十八条但書の規定は当事者が其協議を以て地代を定むることを禁ずるの趣旨に出でたるものにあらずして其協議を以て之を定めたるときは其協定に依るべく其協議調はざるときは裁判所に請求して之を定むるの法意なりとす。
又同条に依り発生したる地上権の存続期間を定むるに付ても亦異なることなし。
即ち其地上権は存続期間の定めなきものなるを以て民法第二百六十八条第二項の規定に従ひ裁判所は当事者の請求に因り其存続期間を定むべきものなれども其規定も亦当事者が其協議を以て之を定むることを禁ずるの法意に非ず。
従て其協議を以て之を定めたるときは其協定に依るべきものとす。
故に同趣旨に出でたる原判決は正当なるを以て本論旨も其理由なし。
(判旨第三点)
以上説明するが如く本件上告は其理由なきを以て民事訴訟法第四百五十二条に依り主文の如く判決するものなり。