故障申立却下ノ命令ニ對スル抗告ノ件
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大審院民事判決録（民録）8輯11巻69頁
明治三十五年（ク）第三百號
明治三十五年十二月十五日第二民事部决定
◎决定要旨
- 一 民事ノ判决書ニ付テハ刑事訴訟法第二十條ニ於ケルカ如ク判决正本ノ毎葉ニ契印スヘキ規定アラサルカ故ニ其契印ナキ正本ヲ以テ不適法ノモノト云フヲ得ス
（參照）官吏、公吏ノ作ル可キ書類ハ其所屬官署、公署ノ印ヲ用ヒ年月日及ヒ場所ヲ記載シテ署名捺印シ毎葉ニ契印ス可シ若シ官署、公署ノ印ヲ用ユルコト能ハサル場合ニ於テハ其事由ヲ記載ス可シ此規定ニ背キタルトキハ其書類ノ効ナカル可シ」官吏、公吏ニ非サル者ノ作ル可キ書類ニハ本人自ラ署名捺印ス可シ（刑事訴訟法第二十條）
原審 宮城控訴院
抗告人 小岩彦兵衛
訴訟代理人 萱場精一郎
右抗告人ハ宮城控訴院明治三十五年（ネ）第八七號事件ニ付キ同院民事部裁判長カ同年十月二十二日與ヘタル故障申立却下ノ命令ニ對シ本院ニ抗告ヲ爲シタリ依テ决定スル左ノ如シ
本件抗告ハ之ヲ棄却ス
理由
本件抗告ノ趣旨ハ明治三十五年九月十五日控訴人闕席ノ侭言渡シニ相成リタル宮城控訴院民事部明治三十五年（ネ）第八七號闕席判决正本ハ毎葉ニ契印ナキヲ以テ適法ノ判决正本ト認ムルコト能ハス故ニ該闕席判决ハ適法ニ送達無之モノナルヲ以テ故障期間ハ未タ進行ヲ始メサルモノニ付控訴人カ明治三十五年十月二十日故障ノ申立ヲ爲シタルハ期間經過後ノ申立ニ無之然ルヲ宮城控訴院ニ於テ故障申立期間後ニ申立テタルモノトシテ故障却下ノ命令ヲ附サレタルハ不服ニ付抗告スト云フニ在リ
依テ審按スルニ民事ノ半决書ニ付テハ刑事訴訟法第二十條ニ於ケルカ如ク判决正本ノ毎葉ニ契印ス可キ規定アラサルカ故ニ其契印ナキ正本ヲ以テ不適法ノモノト云フヲ得ス依テ此ノ如キ正本ノ送達ハ法律上適法ノモノナレハ原院カ抗告人ハ以上ノ如ク適法ナル闕席判决ノ正本ノ送達ヲ受ケナカラ法定ノ期間ヲ徒過シタル後申立テタル故障ヲ不適法トシテ裁判長ノ命令ヲ以テ却下シタルハ相當ニシテ本件抗告ハ理由ナキモノトス依テ棄却スル所以ナリ
