養嗣子離縁復籍要求ノ件

平易表示にする 原文表示にする

大審院民事判決録（民録）4輯4巻35頁

本件は吉田庄四郎より吉田七蔵に対する養嗣子離縁復籍請求の訴訟にして第一審繋属[けいぞく]中吉田庄四郎死亡したるに付、其孫なる上告人吉田昌作後見人清水忠太郎より訴訟手続の受継を申立第一審裁判所は受継するを得ずと裁判し第二審即ち原裁判所は受継の申立を許したるものに係る。 即ち第一審裁判所が受継を許さざる裁判は上告人に於て本訴の請求を為す権なしとするに外ならずして上告人及被上告人間の訴訟を完結せしむるものなるを以て終局判決なりと雖[いえども]も原裁判所が受継を許したる裁判は本訴の当事者となる資格ありとするに止まり尚ほ本按の当否に付ての裁判を要せしむるものなれば中間判決にして終局判決にあらず。 故に此中間判決に対して不服あらば本案の裁判と共に上告を為すを得るも本案の裁判に先ち中間判決のみに対し独立して上告を為し得べきものにあらず。 乃ち[すなわち]本上告は民事訴訟法第四百三十二条上告は地方裁判所及び控訴院の第二審に於て為したる終局判決に対し之を為すとの規定に違背するを以て同法第四百三十九条第一項に従ひ不適法として之を棄却すべきものとす。