加判新償金請求ノ件
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大審院民事判決録（民録）2輯11巻117頁
明治二十九年第二百二十號
明治二十九年十二月二十四日第一民事部判决
◎判决要旨
- 一 連帶義務ハ法律ノ規定又ハ特約ニヨリ發生スルモノトス
- 一 保證人二名以上アルトキ特約ナキ上ハ保證義務ハ當然各保證人間ニ均一ニ分割セラルヘキモノトス
第一審 前橋地方裁判所高崎支部
第二審 東京控訴院
上告人 田村甚四郎
訴訟代理人 高橋庄之助
被上告人 五明貸金合資會社業務擔當員 根岸松齡
右當事者間ノ加判辨償金請求事件ニ付東京控訴院カ明治二十九年四月十三日言渡シタル判决ニ對シ上告人ヨリ全部破毀ヲ求ムル申立ヲ爲シ被上告人ハ上告棄却ノ申立ヲ爲シタリ
判决
原判决ヲ破毀シ更ニ辯論及ヒ裁判ヲ爲サシムル爲メ本件ヲ東京控訴院ニ差戻ス
理由
上告論旨ハ原院ニ於テ「甲一號證ニ徴スルモ控訴人ハ本訴ノ債務ヲ他ノ保證人ト分割シテ特ニ保證シタルモノニアラサルノミナラス當然分割セラルヘキ性質ノモノニアラサレハ各保證人ハ其債務ノ全部ニ對シ保證義務ヲ負擔スルヲ相當トス」ト判决セラレタレトモ凡ソ義務ノ連帶ハ之ヲ推測スヘキモノニアラス故ニ之ヲ連帶ト爲サンニハ法律ノ規定又ハ特約ニ由ラサルヘカラス然ルニ保證人數名アル場合ニハ連帶ニシテ義務ヲ負擔スヘキ法律ノ規定ナク又其特約ナシ抑モ保證義務ナルモノハ保證人間ニ當然分割セラルヘキ性質ノモノナルニモ拘ハラス之ヲ分割スヘキモノニアラスト判定セラレタルハ法則ヲ不當ニ適用シタル違法ノ判决ナリト云フニ在リ按スルニ連帶義務ナルモノハ法律ノ規定又ハ特約ニ依リ發生スルモノニシテ保證人二名以上アル場合ニ連帶ニテ其義務ヲ負擔スヘキ法律ノ規定ナク又別ニ特約ナキ上ハ保證義務ハ各保證人間ニ當然均一ニ分割セラルヘキモノトス然ルニ原院ハ保證義務ハ當然連帶ナルカ如ク判斷シタルハ法則ヲ不當ニ適用シタルモノニシテ破毀ヲ免レサルモノトス但シ本件ノ保證義務ニ付テハ特約ノ存スルヤ否ヤノ事實確定シ居ラサルヲ以テ辯論及ヒ裁判ヲ爲サシムル爲メ原院ニ差戻スヲ相當トス
