詐欺取財ノ件
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大審院刑事判決録（刑録）16輯162頁
明治四十二年（れ）第二〇四三號
明治四十三年二月七日宣告
◎判決要旨
- 一 公訴不受理ノ申立ハ一ノ判決ヲ求ムルモノナルヲ以テ裁判所ハ之ニ對シ審理判決ヲ爲ササルヘカラス從テ其申立ヲ看過シ直ニ本案ノ判決ヲ爲シタルハ違法ナリ
第一審 大阪地方裁判所
第二審 大阪控訴院
被告人 玉垣義太郎
右詐欺取財被告事件ニ付明治四十二年十一月八日大阪控訴院ニ於テ言渡シタル判決ニ對シ被告ハ上告ヲ爲シタリ因テ判決スル左ノ如シ
理由
原判決ヲ破毀シ事件ヲ廣島控訴院ニ移送ス
上告趣意書ノ第二ハ本件ハ明治四十二年八月二十六日刑事訴訟法第百八十六條ニ據リ公訴受理ス可カラサル申立ヲ爲シタルニ本案ニ先チ決定ヲ與フヘキニ拘ハラス該申立ニ對シ何等ノ判決ヲモナサス控訴辯論ヲ續行シ明治四十二年十一月八日本案判決ヲ爲シタルハ失當ニシテ刑事訴訟法第二百六十九條第七項ニ該當スヘキ違法ノ裁判ナリト信スト云フニ在リ◎因テ一件記録ヲ査スルニ明治四十二年八月二十六日附ヲ以テ被告ヨリ公訴受理スヘカラサル申立書ヲ原院ニ提出セリ該申立ハ一ノ判決ヲ求ムルモノナルヲ以テ之ニ對シ審理判決ヲ爲ササルヘカラス然ルニ原院ニ於テ之ヲ看過シ直ニ本案ノ判決ヲ爲シタルハ違法ニシテ上告論旨ハ其理由アリ既ニ此點ニ於テ原判決ヲ破毀スル上ハ他ノ論旨ニ對シ説明ヲ爲スノ要ナシ
右ノ理由ニ依リ刑事訴訟法第二百八十六條ノ規定ニ從ヒ主文ノ如ク判決ス
檢事矢野茂干與明治四十三年二月七日大審院第二刑事部
