雑報

契約解除と其通知
契約當事者の一方か其義務を履行せさる場合に於て契約を解除せんと欲する者は相當の期間を定め其義務を履行すへきことを催告し其催告に應せさる場合に於て始めて契約解除を爲すことを得るは民法の規定する所なるも催告と同時に期間内に履行せさるときは契約は當然解除せらたるものと看做すの豫告するもの多し然り而して此豫告を爲したる一定の期間を經過したるときは當然契約は解除せられたるものと見る可きや否やは法曹家には兎に角一般人民に取りては頗る有益の問題なりと信す此問題に對し東京地方裁判所第二民事部は三十四年第一九一八號事件に於て左の斷定を與へたりと云ふ
契約の解除權は權利者か相當の期間を定めて義務の履行を催告し債務者之に應せさるとき始めて發生するものなり故に義務履行の催告と同時に其履行なきときに契約を解除する旨の通知を爲すも是唯解除の豫告に過きすして解除其者の意思表示に非すと