雑報
◎獨菌に於ける商法に關する最近著書(承前)
カア、レエーマン及ひフアウ、リング氏商法註釋書は最良著述の部類に屬し今日迄に二部出版せり第一部はリエーマン氏の著述にして商法第百九十七條迄を説明し第二部はウアウ、フング氏の著述以して商法第百七十八條乃至第二百七十五條迄を網羅せり(八百九千十九年及千九百年伯林市ハイマン書店出版代價七「ムルク」及ひ四「マルク」其他詳細にして且つ精密なる註釋書はエスゴルドマン氏商法(一千八百年伯林市フアーレン書店出版)とす
新商法を秩序的に説明したるはカア、ガライス氏の著述に係る商法教科書にして其著名なるは第六版なりとす(千八百九十九年伯林市クウテンタツハ書店出版代價九「マルク」)同著述は商法研究者の資料として其用に供したることは其以前出版の同氏商法に同し
商法中或特別の事項に關する著述中『代理商』と題するウエ、インム、メルワール氏の著書(一千九百年ブレスラウ市マルクウス書店出版代價「四マルク」)は能く其意義を顯はし且つ學問上に利益を與ふるものなり代理省の定義は始めて新商法中に規定せられ而して法律上確定したり然れとも新商法は商業上取引の實際裁判及ひ著書により補足するを必要とするか如く代理商に關して僅少の法條を規定せり著書は是等の材料を基礎として代理契約の意義及ひ本質を總ての方面より明瞭精確に説明したり如斯著書は從來嘗て獨乙の著述界に於て見さる所なりとす故に此種の「モノグラフヒ井ー」は商法學理に重大なる利益を與ふるものなりとして特筆するを憚からさるもにならす重要にして而かも疑はしき場合に於ける實際上の必要なる案内と云ふも誣言に非るなり
株式會社法の註釋書としてエル、エツセル氏及ひエフ、エツセク氏の著書(一千八百九十九年伯林市スプリンゲル書店出版代價「四マルク」)あり其他説明の順序秩序ありて讀者に了解し易き註釋書はハア、カイスネス氏及ひハアフアウ、ジモン氏著書第五版ハアカイスネル氏及ひエル、カイスネル氏著書(一千九百年陰林市グウテンタツハ書店出版代價「二マルク」二十五「ペンニヒ」とす以上の著書は各學者の見解及ひ裁判例を所々に引照して法文の説明に尤も注意を用ゐたり此種の著述中尤も卓絶したるものをアルベルト、ピンネル氏の『獨逸株式法』と題する極めて範圍廣き註釋書(一千八百九十九年伯林市ハア、レユルレル書店出版代價「マルク」)とす同書は其説明裁判所の判决例を引用し及ひ各個の文詞及ひ事項の説明に止まらすして條文の内容を論理的法及抽象的解説法を用ひて之を説明し啻に實際家の實用に適せしめたるのみならず學者に取りても價値あるものなることは蓋し疑ひなき所なりとす
株式法中各個の特別なる事項を論究したる著述をクレンペエレル氏『ケヌスシアイネエの法律上の性質』と題する著書(千八百九十八年ハルレエ市ケンノムメレル書店出版代價二「マルク」)とすロゼンワルド氏の『株式會社設立に際しての監督」と題する著書(千八百九十八年ミユンヘン市シワイツヱル書店出版代價一「マルク」五十「ペンニヒ」)は監督人制度の成立及び發達は新舊商法に比較して特に其改正したる點に付き説明をなせりペ、ヱアツフヱルベウク氏の『株式記載の本質』『其記載より生ずる權利義務』と題する著書(千九百年イエナフ市フヒシヱル書店出版代價一「マルク」)なり又ヲー、クウゼンベルヒ氏の『株式證書の法律上の特質』と題する著書(千九百年ストラスブルヒ市ウレヱジール、シワイクハルト書店出版代價一「マルク」)はハイデルベルヒ學士法學研究會の編纂に嚴りたるものにして同書は株式會社の性質より株式證書の性質に論及せりコツト、マンキーウイツ氏の『株式會社監査役の權利義務』と題する一小論文(千八百九十九年伯林市ストルツベヱ、ウインクレル書店出版代價一「マルク」二十「ペンニヒ」は新商法の規定に關し一讀す可き價値ある觀察をなしたり實際上の必要より箇々の問題を詳細に説明したるはヘルマンミエルレル氏の『株式會社の取締役の所謂部分』と題する著書(千八百九十九年ハンノヲウヱル市ハアーン書店出版代價五十「ペンニヒ」)とす著書は株式會社の利益を左迄害することなくして帝國議會の附加したる商法第二百卅七條及ひ同第二百四十五條を實際上に適用せしむるを得る爲めに確實なる批評をなしたりジヱムスブライト氏の「仲買人のSelbstein sritrecht』と題する著書(千八百九十九年ライプラヒ市ロスベルヒ、ベルデ禁書店出版代價五「マルク」)は新商法を基礎として從來學者の説明したるよりは尚明確且つ完全なるのみならず從來學者の未だ研究せさる所に迄論究し且未决の疑問を論斷したり其他アヘトン、ランゲル氏の『新舊商法に從ひたる仲買取引に付ての所有權の得喪』と題する(著書千九百年マルブルヒ市ヱルウエルト、書店出版)は仲買取引に關する著述中最も價値多きものとす
小切手法に關する著述にして外國の立法例及び數多の學説を參酌して説明したるものをパフリイチエツク氏の墺國草案を參照して比較的研究をなしたる小切手法とす(千八百九十八年維那府センツ書店出版代價二「マルク」四十「ペンニヒ」)とす又甚だ利益ありて吾人を奬勵する著述はカア、ヘルフヱリフチ『氏の金錢及銀行制度と題する著書(千九百年伯林府グウランタツハ書店出版代價六「タルク」)とす同書の内容は主として經濟上に關するも然れども往々吾人の注意を惹起す可き法律上の見解を交えたり
最後に二個の必要なる編纂書を紹介せんとす即ちビラウヱ氏及びアブト氏の「商取引上の慣習に關する伯林商估の古代の觀察と題する著書(伯林府ハイイン書店出版)及びヲツトヲ、フツクスベルゲル氏商軍高等裁判所及ひ帝國裁判所判决例集(千九百年ギーセン市ロート書店出版代價二十四「マルク』)是なり(完)