雑報
◎棚橋檢事の意見
刑事訴訟法第二十條第一項に官吏公吏の作る可き書類は云々署名捺印し云々とあり其第二項には官吏公吏に非ざる者作るべき書類は本人自から署名捺印すべしと規定しあり此法律を正面より解釋する時は官吏公吏は其身分位置に於て自分の氏名を記し得ざる筈なければ署名捺印の規定は自ら名を署し印を捺するの意味となるに反し官吏公吏に非る者即ち普通人に於ては無學無能にして或は自分の名さへ記し得ざる者もあるべし是に於てか第二項に於て特に本人自から署名捺印すべし若し能はざるときは其代署の事由を記載すべしと規定したる次第にして官吏公吏丈けは必ず自署せざる可らざるものと思考す