通信一束
◎京都通信(丸〓粹士投)
當地の辯護士會にては曩きに司法大臣より諮問したる刑法〓に刑事訴訟法改正案に對する意見を答申せん爲過般臨時總會を開き其調査を常議員に附托したるに付其後數囘常議員に於て査覈審議の末刑法〓に刑事訴訟法とも大体に就ては改正案を可としたるも刑事訴訟法改正案中司法警察官の職權擴張の事に就ては絶對的に之を不可なりとせざるも時機尚早てふ理由を以て當分は現行法の侭止め置くを可なりとする意見にて目下起草委員の〓許に於て答申文案の起草中なるが八月二十日迄に脱稿し一應常議員の議に附したる上檢事正の手を經て司法大臣に提出する筈なりと
◎廣島通信(ガンス生投)
當地の辯護士會にては同會規約改正の件に付大手町四丁目榮亭に於て辯護士會を開けり出席會員十六名にして逐條審議の末草按通り改正することとなり其筋の認證を經るに决し散會したり
◎福島通信(一法居士投)
當地組合辯護士會に於ては例の司法者の諮問に係る刑事訴訟法竝に刑法改正案に對する意見を具申せんが爲め曩きに二十名の委員を選定し置たるか各委員よりの報告を議題と爲し去十五日間議に移り同問題改正の必要あるや否やに就て各自意見を述べ一同必要あるものと認むるの决定を爲し次に修正意見の報告に移り福島町委員(八名)の修正意見を委員伊藤武壽氏より三十ケ條餘湊芳藏氏より二十ケ條餘若〓員員(四名)前田兵郎氏より四ケ條白河(二名)宇佐美房二氏より四ケ條を報告し畢て討議の方法に關し議論百出殆んど激論に渉り一時同會を中止せざるべからざる樣見へたりしも小笠原會長の調停により先づ事なきを得引續き討議を爲す事に决定し先づ前田兵郎氏報告第一議題に付議論の末之を否决し更に各委員中より會長の外四名の委員を撰任し一切の修正意見〓に意見書起草全權を委任する事の動議あり即ち同問題は多數により直に採决四名の委員は投票の上小笠原貞信、三輪林之助、湊芳藏伊藤武壽、柴田泰之助の諸氏當撰し閉會夫れより北裡田圃中常に於て懇親會を開き散會したりと
◎神戸通信(布引隱士投)
神戸辯護士會にては兵庫常磐花壇に於て臨時總會を開き夫の司法省より諮問にかゝる刑事訴訟法及び刑法草案を議したるが出席者は十三名にして先づ同草案の調査委員より調査の結果を報告し之に對して意見を述べ議論百出容易に决せざりしも大体該案を是認する事に决し松本會長より答案の起草委員に大槻貞夫、田井與之助、高倍權太郎の三氏を指名し尚刑法草案についても意見を附して答申する事に决し終つて小宴を開き五時過ぎ散會したり
◎仙臺通信(宮城野〓史投)
當控訴院長高木勤氏は常盤地方に川目檢事長は菖蒲田に避暑中▲休暇部にて出務し居る部長は岩本判事檢事は管野善三郎氏なり▲目下控訴院に於ける刑事上の控訴件數は三百九十九件上告件數は二十一件にして都合四百十件なるが非常の増加なりと(八月十五日現在)▲宮城控訴院の増部は愈々九月一日にして同十一日より開始の筈なるが目下増部判檢事の决定しあるは刑事富田正治北島和作淺間新五郎檢事村上正世の諸氏にして尚ほ二名の新補を見るべしとなり
◎岡山通信(吉備〓子投)
岡山地方裁判所に於ては豫ねて主務省の諮問に係る刑法及刑事訴訟法の草案に對し意見具申の爲め判事會議を開曾せるが右は八月三十一日限り答申すべき筈なるに付所長に於て其意見を取纒め同月末迄には主務省へ具申の運びに立至るべしと▲高梁區裁判所判事より今囘金澤區裁判所監督判事に轉任したる山川正澄氏は去十七日高梁を發して當地に來り午後五時五十二分發山鐵上り列車にて赴任の途に上りし筈なり▲津山區裁判所に於て客月中取扱たる登記件數は二百三十七件(物件は七百七十六件)にして内土地に關するもの二百七件建物に關するもの三十件、之に對する登録税は三百三十二圓四十九錢なり昨今は暑中休暇中のことゝて總ての登記件數減少せるが中にも多きは地所賣買〓に抵當書入等なりと