法令質問
本欄應答事項〓社會便益の爲め設けたるものなれば玉石の嫌ある同架も盖し漏を得ざる所なり
東京 伊東生
(問)未成年か分家する場合に其届書は從來の親權者より之れを爲す可きものなるや又後見人を定めて其後見人より届出つへきものなるや
(答)未成年者が分家し其届出をなすには戸籍法第百五十六條により親權者の同意を得て届出を爲すべきものとす
岡山縣 岡本小馬
(問)六ケ月後返濟すへき契約を以て貸與したる貸金債權及十ケ〓割拂契約の貸金債權の消滅時效は民法第百六十七條乃至百六十九條中何れに該當すへきや
(答)前段の債權は民法百六十七條により十年間之を行はざるにより消滅す後段の債權は同法百六十八條により第一囘の辯濟期より二十年間最後の辯濟期より十年間之を行はざるにより消滅し但し割拂金に就ては同法百六十九條に依り五年間之を行はざるにより消滅す
播摩 ピーペー生
(問)戸主か婚姻により他家に入りし場合に前戸主たりし家も新に入りし家との戸主となるを〓得るや
(答)同一人にして二家の戸主と爲ることは法律の禁ずる所なり戸主が婚姻により他家に入るには廢家するか又は隱居せざるべからざるを見ても明かなり
大坂 樋廻家
(問)不動産を抵當とし明治卅三年一月を返濟期限と定め金〓を貸與したり然るに債務者六年五月に至る迄利子を支拂はす債〓者は右遷延利息に對し民法第三百七十四條の但書に依り第三者に對し優先權ありや
(答)法律は其效力既往に遡らざるを原則とす而して民法第三百七十四條の但書は本年四月十三日を以て公布せられたるものなれば法例第一條の法律は公布の日より起算し滿二十日を經て之を施行すとの規定により該法律は其發布の日より滿二十日を經過したる後にあらざれば其效力を發生せず故に第三者に對し優先權を行ふことを得べき遲延利息は右法律の效力を生じたる後のものならざるべからず