雑報
◎檢事の内申書
龝田地方裁判檢事紀志嘉實は此頃左の如き内申書を金子法相に呈す吾人紀志の平生を知る能はすと雖も此内卅書か果して眞摯的のものなるか將た揶揄的のものなるかは盖し識者を俟たずして知るべきのみ
内申書
小官儀
曩に昨三十三年三月造士寮沒藩後一旦就官仕候處營養不給の給果にも〓之〓敷侫得共著來腦病に相罹り候に付去月十五日付辭職頴出候處頌日在京同僚共打集ひ怪しからぬ運動致候旨御訓令に依り始て了承右は官紀が來るの甚敷者ご愚考仕候に就ては必然相當懲戒の御處分可相成筋合ご奉察候間自然人不足とも可相成從て俸給の剩〓も可相〓義と奉存候間御都合に依りては枉て留任致候て〓不苦候間御合迄申〓候尤も右樣都合と相成候得者小官の俸給は只今の倍額と御治定被下度爲念申添候也
三十四年三月二日 龝田地方裁判所
檢事 紀志嘉實
司法大臣男爵金子堅太郎殿